最近は有名作品の続き物が上位を席巻するクールが多い中、今期は新作が豊富だった印象です。やはり春は始まりの季節ということなんでしょうか。見ていきます。
▼前回
5位: 上伊那ぼたん、酔へる姿は百合の花

大学進学を機に学生寮に入寮した上伊那ぼたん。
寮のメンバーと訪れた秩父・芝桜まつりのベンチでひとり、お酒を飲む寮長・砺波いぶきを見つける。
ぼたんは、ハイボールをあまりに美味しそうに飲むいぶきに惹かれ「私もそれ、飲んでみたいな」と人生で初めてのお酒を口にすることに。
そこでお酒の美味しさを知ったぼたんは、一緒に暮らす寮生たちと焼酎・ワイン・ウイスキーなど様々なお酒を楽しみ、関係を深めていく。
一方、過去の苦い経験から“一人飲み”にこだわっていたいぶきも、楽しげで美味しそうにお酒を飲むぼたんと過ごすうちに、一緒にお酒を飲みたいと考えるようになり……。
放送前チェックでは「お酒をテーマにしたゆるい美少女日常系かな?」とか思ってましたが、蓋を開けてみるとたいへん湿度の高い濃厚百合アニメでした。思えばタイトルにがっつり"百合"が入っていることから察するべきだったのかもしれません。
わたなれやわたたべ、超!かぐや姫など最近トレンドになりつつある女×女関係性アニメに、また1つ強えー奴が加わったなという印象。
先に上げた3作品も含め主要キャラが高校生の作品が多いのに対し、上伊那ぼたんは大学生で全員飲酒可能な年齢ということもあり、お酒を介した大人びたコミュニケーションのもと物語が進行するというのが特徴的です。
▼実在するお酒の銘柄も色々出てくる
出典: 『上伊那ぼたん、酔へる姿は百合の花』1話/2話
一方で、登場人物がみな教養レベルが高く、一般的な大学生の水準からかけ離れた高尚な話題でコミュニケーションを取っていたことから、「衒学的」だと揶揄される側面もありました。
同じ「大学生が主人公でお酒をテーマにしたアニメ」として『ぐらんぶる』がありますが、アレとはあまりにも別世界すぎますね。比べるのがおかしい?それはそう
もう1つ特徴的だった点として、毎話作画テイストが変わるという方式を取っていたことが挙げられます。一般的なアニメでは絵柄に統一感を出すため総作画監督が全話を統括するものですが、そのポジションを置かずに毎話異なる作画監督が各々の個性を発揮した絵柄で仕上げるという、異例の体制が敷かれていました。
▼公式Xでも各話の絵柄の違いを紹介している
一歩間違えれば作画崩壊と捉えられかねない挑戦的な試みで、実際3話ではかなり尖った作画で賛否両論を巻き起こしました(正直自分もかなり違和感を抱きました)。それでも全話を通して非常に高い水準で維持されていたこともあり、トータルで見れば好評だったように思います。
また、OP/EDのクオリティの高さも話題になりました。
オープニング曲はyonigeの『芽吹くとき』。サビの疾走感と爽やかさを兼ね備えた曲調に、「炭酸が抜けるより速いスピードで変わっていく気持ち」など耳に残るフレーズもあり、曲単体でまず高評価です。
加えて、ホームビデオ風で各キャラの寮での様子を描いていく映像も非常に良く、ラストでぼたんが指銃で作品タイトルを撃ち抜き、銃口(指先)をふっと吹くシーンが好きすぎて毎週テレビの前で真似してしまうほどでした。キショいですね。
ちなみにyoutubeには「完全版」としてTV放送版より12秒ほど長くなった&画面比が4:3になったバージョンがアップされています。
一方のエンディングの『感情グラス』ですが、こちらはしっとりとしたEDらしい曲調で、各キャラクターが交代で歌う形になっています。何より反響を呼んだのがED映像で、サイレント漫画のようにいくつかの絵を切り替えていくことで、90秒間で1つのストーリーを描いていました。そしてそれが週替わりでどんどん新しいのが出てくるという…。いや凄すぎんか…。
内容もキャラクターの過去エピソードなど示唆に富んだものが多く、「このエピソードで1話分作れるやろ!」という視聴者の叫び声も上がっていました。
▼9話ED、本編の内容と照らし合わせて「人の心とかないんか?」になった
余談ですが、砺波いぶきのキャラデザが『ヤマノススメ』の雪村あおいに激似であることが放送開始当初からSNSでたびたび話題に上がっていました。奇しくもこちらは秩父、あちらは飯能が舞台と距離も近めです。さらに上伊那ぼたんの原作者である塀氏はヤマノススメ3期の原画スタッフとして参加していたことがあるなど、何かと関連が見つかっていました。
すると4話本編中に出てきた「ハイボールとチューハイの違い」を解説する動画で、明らかにヤマノススメの雪村あおいと倉上ひなたとしか思えないゆっくり解説風キャラクターが出てきました。もちろんCVも一致。
▼ゆっくりあおいとゆっくりひなた

出典: 『上伊那ぼたん、酔へる姿は百合の花』4話
作中キャラからも「いぶきさんと似てますね!」という発言が飛び出し、無事公式ネタと化しました。エンドクレジットにもちゃんと『ヤマノススメ Nest Summit』製作委員会が載っていた模様。
さらには7話では登山回があり、山に登るいぶきの姿はもう完全に雪村あおいでした。
好きなキャラ: 上伊那ぼたん

出典: 『上伊那ぼたん、酔へる姿は百合の花』オープニング映像
作品タイトルにもなっている本作の主人公。一浪かつ4月生まれという設定を生かし、大学入学直後からお酒を飲む姿が描かれます。正直最初の印象は「思わせぶりなレズムーブをかましまくる悪い女」でした。
昨年『わたしが恋人になれるわけないじゃん、ムリムリ!(※ムリじゃなかった!?)』に登場する甘織れな子が、「れな子が悪いんだよ」というネットミームも生まれるほどの罪深いムーブでヒロインを次々に落としまくる様子がネタにされていましたが、ぶっちゃけ余裕でれな子を超えるヤバさだったと思います。
れな子に関してはコミュ障×卑屈を拗らせた末の距離感バグがうまく作用して結果的にファム・ファタールと化していたみたいな感じでしたが、ぼたんに関しては自分の魅力を理解して意図的にやってるだろ…と思えるような手練手管で寮の面々、特に寮長の砺波いぶきと距離を縮めていきます。
1話からいきなりいぶきと2人で飲んでいる際に顔を近づけて「寮長の舌が欲しいな」と発言したり、4話では神社で縁結び祈願の紙に自分の名前を書くことを要求したり、マニキュアを塗ってもらおうとしたり…。「寮の先輩後輩」という関係性はとうに飛び越えた、あっという間に特別な2人になっていきました。
以前からいぶきに想いを寄せていたにも関わらず、その奥手さゆえになかなか距離を詰められずにいた郡上かなでとの対照が残酷でしたね…。まぁあまりにも負けヒロインムーブをしすぎていた郡上パイセンが悪いんですけど…。
8話にて、中盤から登場する台湾人留学生・張景嵐に誘われてサシ飲みするシーンがあります。ぼたんのいぶきに対する態度に釘を刺す…という書き方をすると少し剣呑ですが、少なくともぼたんの真意を問いただす意図を持ってセッティングされた場でした。
しかしぼたんは追及を軽くいなし、逆に場の主導権を握ります。ここらへんの振る舞いも本当に良い意味で悪いなぁと。(一瞬で字面が矛盾してますね)
とはいえ最後にはいぶきに対する想いを景嵐に、そして視聴者に吐露し、続く9話での非常に湿度の高いクライマックスシーンに繋がっていきます。
▼20歳の色気か?これが…
4位: とんがり帽子のアトリエ

「魔法」――、それは世界に溢れていて人々の生活を豊かにする、なくてはならない便利な“奇跡”。
けれど、 “魔法をかけることが出来るのは魔法使いだけ”。
魔法をかける瞬間を見てはならないのがこの世界の掟。
小さな村で母親の手伝いをしながら暮らす少女・ココは、それでも幼い頃から魔法使いへの憧れを抱き続けていた。
ある日、村を訪れた魔法使いの青年・キーフリーが魔法を使うところを覗き見てしまい、大きな秘密を知ることになる。
それは、特別な道具で魔法陣を描けば、本当は誰にでも魔法が使えるという、魔法使い達が隠した「絶対の秘密」だった――。
壮麗で幻想的な世界の裏に影を落とす、大人達が口を閉ざした魔法の歴史。
「知らざる者」として生まれ、キーフリーの弟子として魔法を学ぶことになったココは、アトリエの仲間と共に探求と成長を重ねていく中で、秘密多き魔法使いの世界へと足を踏み入れていく。
――これは、絶望を知り、希望へと手を伸ばす、子供たちの物語。
世界的大ヒット漫画を原作とした魔法ファンタジー。前評判通り、1話から圧倒的美麗作画と惹き込まれるストーリーで魅せてきました。
主人公である小さな村の仕立屋の娘・ココは、幼い頃から魔法使いに強い憧れを抱いていました。しかし、この世界では「魔法は生まれたときから才能がある人しか使えない」というのが絶対の決まり。ある日、村を訪れた魔法使いキーフリーが魔法を使うところを盗み見てしまったココは、驚くべき真実を知ってしまいます。実は、魔法とは才能ではなく、特殊なインクを用いて「図形(魔法陣)」を描くことによって誰でも発動できるものだったのです。
憧れのあまり、昔手に入れた絵本に書かれていた図形を真似してなぞったココ。しかし、それは決して使ってはいけない「禁忌の魔法」で、発動した魔法によって母親が石化してしまいました。ココは彼女の才能を見出したキーフリーの弟子となり、母を元に戻す方法を探すために「アトリエ」へと足を踏み入れます。
いわゆる「持たざる者」とされていた主人公がとあるきっかけで「持つ者」と関わり、その世界に足を踏み入れていくという構図はやはり王道ですね。
冒頭でも触れましたが、このアニメの最大の魅力はやはりその作画の強さかなと思います。魔法を用いたアクションシーンの作画はもちろん、背景や人物の表情も丁寧で、毎週劇場版のようでした。
純粋な絵の美しさだけでなく、キャラクターを魅力的に描く演出もハイレベルでした。
▼空を飛ぶ靴を貸してほしい時に傾きながらお願いしてるのが良すぎた
ちょっと残念だったのが、最終話がかなり中途半端な終わり方だった点。洞窟での試験中に敵勢力である「ツバあり帽」からの襲撃を受けキーフリー先生が負傷、「ここからどうするんや…?」という状態で終わってしまいました。
2期制作は発表されたものの具体的な時期は未定で、不完全燃焼のまましばらく待たされるような形に…。ここがもう少し綺麗に締まっていれば、覇権として推していたかもしれません。
好きなキャラ: テティア

出典: 『とんがり帽子のアトリエ』9話
キーフリーの弟子の1人で、明るく元気なムードメーカー的ポジションです。ココがアトリエに初めてやってきた時も優しく声をかけ、積極的にコミュニケーションを取っていました。これまでの傾向的にもこのタイプのキャラは好きになりがちなので、まぁ案の定という感じです。
彼女の魔法使いとしての行動原理は、他人を喜ばせて「ありがとう」を言ってもらうことにあります。
「ありがとうを言う人とありがとうって言われる人、一つの魔法で二つの幸せ! それって最高にハッピーでしょう?」というセリフがありましたが、誰かを幸せにすることで自分も幸せを感じる、いかにも"善"という感じの子ですね。
▼テティアが笑顔を見せる場面。ここも本当に作画が強い
1期では同じアトリエメンバーのアガットやリチェの掘り下げエピソードはわりとありましたが、テティアは特にそのへんがなかったので、2期以降に期待ですね。のびしろです。
3位: 日本三國

核大戦、天災、悪政などから革命が起こり、文明が崩壊した近未来の日本。
国は三つに分かれ、覇権を争う三国時代に突入した。
しがない地方役人だった三角青輝は「日本再統一」を目指し、豊富な知識と長けた弁舌でのし上がっていく。
後に奇才軍師と称される男の伝説が、幕を開ける――!
どういうジャンルかを一言で表すのは難しいですが、「知略戦記モノ」という感じでしょうか。文明が一度崩壊した後の日本が、「大和」「聖夷」「武凰」の3つの国に分かれて睨み合ってるという状況。
そんな中で、大和国の田舎で暮らしていた青年・三角青輝が、「泰平の世を築く」という妻との誓いを果たすため、持ち前の知識と弁舌を生かして日本再統一を目指し成り上がっていくという話です。
主人公の青輝が理不尽に置かれながらも決して心を乱さず、理路整然と淀みなく理屈を並べて状況を打破していく様子は清々しさを感じます。セリフ回しが軽快かつカッコいいので、聞いていて気持ちがいいんですよね…。
青輝以外にも有能なキャラクターが多く、戦乱の世の中で高いレベルでの知略のぶつかり合いだったり、あるいは場を切り開く豪胆な行動だったりと、毎週引き込まれる展開で非常に満足度の高いアニメでした。
▼毎週絶賛するオタク

オープニングはキタニタツヤの『火種』。作品の雰囲気にマッチした和ロック風の曲調で、個人的に春アニメのベストOP曲です。
最初から最後までアツいんですが、特にサビ前の盛り上がっていくところで各キャラクターのカットを震わせながら切り替えていくところが好きです。
好きなキャラ: 龍門光英

出典: 『日本三國』オープニング映像
大和国の辺境将軍を務める男。この手のアニメにいがちな、超有能でかっこいいジジイ枠ですね。通天閣にある彼の邸宅で行われる仕官採用試験を果たして仕官が叶うことは「登龍門」と呼ばれています。
2,3話の主人公の青輝と芳経が登龍門に挑戦する回で初登場し、「10分間で己の膝を地面に着けさせれば合格」というシンプルな課題を出しました。勇んで挑むモブたちが龍門に歯が立たない中、芳経は武力・青輝は知力をもって龍門の膝をつかせ合格、そのまま部下として登用されます。
龍門の最大の見せ場といえば、やはり8話「龍虎決戦」における九頭竜橋での空城の計でしょう。
聖夷と大和の戦争が始まり、聖夷軍の電撃的な進撃により大和軍の防衛線が脅かされ、味方部隊の再編および撤退のための時間が絶対的に不足していました。正攻法で兵をぶつければ大規模な消耗戦になり、後続の撤退が間に合いません。そこで龍門は、自らが先頭に立つことで敵の進兵を心理的に完全停止させる作戦に出ます。
極寒の夜、川を挟んで対峙する聖夷軍の大軍の前に、龍門光英はたった一人、完全な丸腰で姿を現します。龍門は甲冑も武器も身につけず、九頭竜橋の上にどっかりと腰を下ろすと、悠然と茶道具を取り出して黙々と茶を点て始めます。
敵の最高司令官が単身で目の前に座り、平然と茶を飲んでいるという不可解すぎる光景に、聖夷軍の兵士たちは困惑し、進撃の手を止めざるを得なくなりました。
これは三国志の故事「空城の計」を想起させます。あえて城門を開け放つなど無防備な姿を見せることで、「裏に強烈な伏兵や罠があるのではないか」と敵に疑心暗鬼を生じさせ、撤退させる心理戦術です。

出典: 『日本三國』8話
丸腰で一人佇む相手に怯んで多勢の部下に敵大将を討ち取らせたとあっては自軍の士気に関わると判断した聖夷の総大将・輪島桜虎は、自らも単騎で龍門と相対します。
桜虎は警戒しながら矢を放ちますが、瞬間突風が吹き、矢は致命となる箇所を外れて龍門の左肩に刺さりました。また、風によって灯籠が倒れて火が燃え移り、龍門は火に囲まれます。
しかしそんな状況でも龍門は悲鳴ひとつあげず、身体を炎に包まれたまま静かに茶を点て、差し出します。その人外じみた精神力と圧倒的な覇気に直面した桜虎は完全に圧倒され、撤退の判断を下しました。
かくして龍門は自らの覚悟と胆力をもってして圧倒的不利な状況を打開し、大和軍は窮地を脱しました。かっこよすぎるだろ…。
2位: ポンコツ風紀委員とスカート丈が不適切なJKの話

桜大門くんは、毎朝校門の前で生徒たちの身だしなみをチェックしている風紀委員。
微笑(ポエム)ちゃんは、毎朝チェックで呼び止められるスカート丈が不適切なJK。
水と油のような二人が、ある日補習でばったり鉢合わせする。
真面目で堅物だと思っていた桜大門くんの正体は、勉強が全然できないポンコツ風紀委員だった!
正反対な二人だったが、お互いを知っていくことで次第に距離が縮まっていく。
桜大門くんと微笑ちゃん、二人の出会いから始まる青春のお話――。
ポンコツ風紀委員とスカート丈が不適切なJKの話、通称「ポンスカ」。なろう系ラノベみたいなタイトルで、正直放送前時点ではノーマークでしたが、始まってみればギャグとエモを非常に高いレベルで両立したラブコメでした。クソ真面目堅物風紀委員×ギャル風ヒロインというギャップの大きい組み合わせはある意味鉄板ですね。
▼一見正反対な2人

出典: 『ポンコツ風紀委員とスカート丈が不適切なJKの話』2話
ラブコメ作品はヒロインたちの魅力もさることながら、主人公に好感が持てるかどうかが重要だと最近特に思うようになってきてるんですが、この桜大門はなかなかどうして良い男です。
真面目ゆえの鈍感さはあるものの、近年ありがちなナヨナヨ系主人公とは一線を画する芯の強さを感じ、見ていて不快感がないですね。まぁ単にポンコツゆえかもしれませんが…。
ちなみにリアタイ視聴すると月曜23:00からとんがり帽子のアトリエ、23:30からポンスカ、24:00から日本三國という放送体制になっており、ベスト5のうち3つが月曜の1.5hに集中するというゴールデンアワーになってました。とんがり帽子のアトリエと日本三國が結構重厚なので、間に挟まるポンスカがいい味出してましたね…。
好きなキャラ: 小日向微笑

出典: 『ポンコツ風紀委員とスカート丈が不適切なJKの話』1話
「スカート丈が不適切なJK」であり、本作のメインヒロインである小日向微笑さん。微笑と書いてポエムと読む珍しい名前で、本人もそれが少しコンプレックスだったりします。
これまで親しい友人以外には名前を明かしてきませんでしたが、ひょんなことから桜大門に知られてしまいました。ただ桜大門はバカにしたりはせず裏表ないまっすぐな言葉で良い名前だと伝え、ポエムも照れながらもその名で呼ぶことを許します。ラブコメの始まりです。
ここから愉快な友人たち(他の委員)が出てきたり、生徒会の先輩が出てきたり、家族との話があったりと、ラブコメの王道展開を消化しつつ仲を深めていきます。そして8話で訪れる江ノ島での合宿回。これまたラブコメの定番とも言えるイベントですね。
みんなで海で遊んだ後の夜、眠れずに宿を抜け出したポエムとそれを追いかけてきた桜大門が夜の江ノ島付近を歩くシーンがあります。もうシチュエーションの時点でエモい…。
夜の空気にあてられてか少しテンションが高いポエム。勢いで「このまま2人で縁結びの神社まで行かないか」と口に出しますが、桜大門がどう答えるか迷って口ごもる間に冗談だと取り下げてしまいました。
フラグが折れたような形でAパートが終わります。
▼少し大胆なポエムさん、おかわいい
出典: 『ポンコツ風紀委員とスカート丈が不適切なJKの話』8話
翌日、昨晩のことを考えてあまり眠れなかった桜大門は寝不足のため、ポエムと2人でみんなと別行動し、休むことになります。夢うつつの中で、昔の記憶が脳を駆け巡っていました。
小学生の頃、「正しい姿」に固執するあまり校則を破って遊びに行こうとする友人の誘いを断って先生に報告し、そこからその友人と疎遠になってしまったという話。校則を守る判断自体は間違っていなかったとしつつも、本心では自分も遊びに行きたかったこと、そしてその気持ちだけでも友人に伝えていれば疎遠にならずに済んだのではないかということ。真面目で堅物であるという彼の長所でもあり短所でもある性格と、それによって抑圧されていた本心が描かれます。
この記憶が、昨晩の出来事と重なります。本当はポエムと2人で縁結び神社に行きたかったのに、いろんなことを考えて答えられなかった自分に気づき、それを素直に打ち明けます。そしてそれに加え、自分が彼女に対して抱いている思いも告白しました。
桜大門の過去と後悔、ポエムたちと関わっていく中で少しずつ変わっていった世界、そして同じ後悔をしないよう一歩踏み出した桜大門。2人の恋心も合わせて、いろんな要素が1話で綺麗にまとめられた神回でした。
▼視聴後、思わず唸った
1位: 霧尾ファンクラブ

拝啓 霧尾くん、あなたが好きです。
でも、知りませんでした。
人を好きになるのが、こんなにつらいなんて。
大好きだよ、霧尾くん。
霧尾くんとハンバーガー食べたい。
霧尾くんと相合傘したい。
霧尾くんとお皿割りまくりたい。
霧尾くんと身体中のほくろ探しの旅に出たい。
霧尾くんと出会った日を国民の祝日にしたい。
藍美と波、大好きな人の話をする、2人だけの大切な時間。
こんな日常が、いつまでも続くと思ってた。
一方通行な想いの連鎖は、私たちの日常を変えていく。
文句なしの覇権です。ここ数年でもトップクラスに入ってくる名作でした。トチ狂ったギャグの面白さ、巧みに張られた伏線とそれを1クールで綺麗に回収する構成、そして各キャラクターたちの人間味のエモさ、すべてが高いレベルでまとまっています。
クラスメイトの霧尾くんのことが好きな女子高生・三好藍美と染谷波の2人は「霧尾ファンクラブ」を結成し、陰から霧尾くんの一挙手一投足を(かなりイカれた妄想も交えながら)観察する日々を送っています。彼女らと、その周りの愉快な仲間たちの間で繰り広げられるちょっと変わった日常系コメディー…だと思ってました、最初は。
登場人物それぞれが何かを抱えており、人間関係の矢印が複雑に絡み、そこから搾り出された人間味が絶妙な空気を醸しつつ、そのすべてを圧倒的ギャグで覆い尽くしてるような、そんなアニメです。
あまりに良すぎて最終回放送後原作漫画も揃えました。全6巻なので、ちょうど1クールで綺麗にまとめられる分量だったんですね。ちなみにアニメ以前に実写ドラマ化もされていたようです。ドラマの方は見てないんですが、予告映像見ると結構再現度高そうで気になりますね…。
イカレギャグ要素の1つとして出てくるのが、2話で歌われた「涙なめなめソング」。霧尾くんに捧げるラブソングとして作詞を始めたはずが、あまりにも狂気的な歌詞になってしまいました。なお曲は無駄に良い模様。
▼あの日見た君の涙、なめたいと思ったよ
ちなみにこの曲が中盤終盤に向けて重要な伏線になっていきます。なんで?
好きなキャラ: 染谷波

出典: 『霧尾ファンクラブ』7話
(以降、作品の根幹に関わる重要なネタバレを含むため注意)
霧尾くんのことが好きで、藍美とともに霧尾くんを追っかけている…という設定で振る舞っている女子高生。これは1話から何度も露骨に示唆されつつ、最終回で答え合わせされる話ですが、彼女が追い続けているのは霧尾くんではなく藍美でした。
入試の時に初めて出会い、とある出来事から藍美のことが気になり始めた波。無事同じ高校に入学して2年生で同じクラスになるも、藍美の目線の先にはずっと1人の男子生徒がいることに気づきます。
すべてを察した波はバッサリと髪を切り、自分も霧尾くんのことが好きだと偽って藍美に近づき、「霧尾ファンクラブ」の結成を持ちかけました。叶わぬ想いであればせめて少しでも一緒に過ごす時間を長くしたかったのか、あるいは好きな人の幸せを一番近くで応援し、背中を押したいという"覚悟"の現れか…。
この前提がなくとも本編はおもしろ日常コメディとして十分成立しているのですが、波の気持ちを踏まえて見ると、彼女の行動1つ1つに別の味がしてくるようになります。本当にこの辺の構成が上手いです。
5話での藍美が学校を休んで霧尾くんと2人で話すことになった時の波の空気感であったり、11話での事情を知らなければ理不尽に藍美に当たり散らしたように見える霧尾のムーブに対して若干怒りを覚えつつも、同時に藍美が本当に霧尾のことを想ってるの知ってるから怒りを出さないようにしてる感じの声色だったり、CVを務める若山詩音の演技もあいまって非常によく表現されていたように感じます。
原作漫画単行本の表紙も「霧尾くんを見つめる藍美と、霧尾くんを見つめているようで実は藍美を見つめる波」の構図になっており、一貫してこのアンバランスな関係性が物語の軸として描かれ続けています。
出典: 『霧尾ファンクラブ』1巻/4巻表紙
小中学生の頃からその異常性が漏れ出し周囲から浮いていた藍美に対し、波は藍美に会うまで普通に人間関係を構築し、普通の学生として過ごしてきました。一方で、志望校をめぐって牽制し合うなど気を遣わなければならない上辺の関係性に辟易していたことも描写されています。そんな中で出逢った、良くも悪くも周囲の空気に流されず、それでいて他人に優しくできる藍美の存在は非常に眩しく映ったことでしょう。
そういえば、波は本編(2年生)時点では藍美の奇行についていけているどころか発想面ではたまに藍美を超える発言をしているまでありますが、これがいつからなのかは少し気になるところ。描写されてる範囲では過去の波には藍美のような奇行はなかったようですが、元からそういうポテンシャルを秘めていたのか、あるいは高校1年間で藍美を見続ける中で"適応"したのか…。
▼適応

出典: 『霧尾ファンクラブ』7話
好きな人の隣に立ち、好きな人に嘘をつき続け、好きな人の1番の友達として奇行に走り、好きな人の幸せを願う覚悟を決めた女の生き様を存分に堪能できる良いアニメでした。
ここからは恒例のランク外の注目キャラクターピックアップです。
スピカ・ヴァルゴ (黒猫と魔女の教室)

出典: 『黒猫と魔女の教室』1話
『寄宿学校のジュリエット』で知られる金田陽介の新作漫画が原作。連載1話からずっと追っていたので、アニメになって大変感慨深いです。
主人公のスピカは明るく前向きなThe主人公といった感じの性格で、現時点ではまだまだ未熟ながらも一等級の魔術師を目指して邁進する日々を送っています。ボケもツッコミもこなせて、コミュ力も高く魔法の技術以外はハイスペック。作中で男女問わず(どちらかというと女性キャラから)人気です。
漫画読んでた頃からスピカの声は本渡楓で想像していたので、アニメ化(正確にいうとその前の漫画CM)でCV本渡楓に決まった時は感動しました。やっぱこの手のキャラは本渡楓がハマりすぎる…。
作品のWebラジオでも島崎信長とともにパーソナリティを務めており、隔週で配信されています。
アニメは連続2クールなので現在も放送中。スピカと幼馴染のアリアとの関係性が描かれる期末試験編は結構好きなエピソードなので楽しみです。
桜みく (愛してるゲームを終わらせたい)

出典: 『愛してるゲームを終わらせたい』1話
こちらも原作から大好きな作品です。両片思いの幼馴染が「愛してるゲーム」をベースに駆け引きを繰り広げる、じれったくも甘々なラブコメ。作画も安定しており、満足のアニメ化でした。
幼い頃から主人公の浅葱優希也(あさぎ ゆきや)のことが好きなメインヒロイン・桜みくは、小学6年生のある日に自分を意識させるために愛してるゲームを仕掛けます。優希也側も徐々に惚れていき、相手が負けを認める(=自分を意識する)まで絶対に引けないという意地の張り合いになりました。結果、愛してるゲームが終わらないまま2人は高校生に…。
何がなんでも優希也をドキッとさせたいみくは、そうなるために自分を磨き続け、クラスでも人気の存在になっていきます。ずっとかわいくなるために続けてきた努力に裏打ちされて、美少女であることを自認してるのも良いですね。個人的に今期No.1ヒロインでした。
みくのCVは奇しくも同名の伊藤美来。五等分の花嫁でも中野三玖を演じるなど、何かと「みく」キャラに縁があります。
ちなみに主人公の妹・わかなのCVも同名の丸岡和佳奈という偶然。キャスティングは別に狙ったわけではないそうです。この2人で作品Webラジオもやってました。
城崎メイ (マリッジトキシン)

出典: 『マリッジトキシン』2話
とある事情から結婚相手を探す必要が出てきた殺し屋の主人公・下呂ヒカルの婚活アドバイザーを務める城崎メイ。こんな綺麗な顔してますが男です。最近この手のキャラが1クールに1人はいますね。結婚詐欺師をやっているため、男女問わずオトせるようにした結果こんな感じになったとか。
結婚相手候補としていろんなヒロインが出てきますが、結局こいつが最強の正妻なのでは…と思わされる展開になりがち。
エンディングテーマではひたすら城崎メイのかわいさをこれでもかとアピールする映像が流れます。なおたまに他のヒロインに乗っ取られる模様。
▼城崎メイよくばりセット
高潔カナン (カナン様はあくまでチョロい)

出典: 『カナン様はあくまでチョロい』7話
人間の魂を喰らうために人間界に降り立った美食の悪魔・カナン様。しかしタイトル通り非常にチョロく、主人公・供犠羊司(きょうぎ ようじ)の魂を食べようとした結果、逆に言いくるめられてなぜか恋人契約を結ぶことになってしまいました。
そこからはもうひたすら押しが強くてちょっとアホな供犠くんにカナン様が振り回される王道ラブコメ展開が続きます。なんやかんや一途に愛を伝えてくれるので、カナン様サイドも満更でもない感じになっていきます。
CVは古賀葵ですが、これがとんでもなくハマってました。プライドが高く一見高貴そうに見えるが恋愛方面はウブでポンコツな美少女、古賀葵との親和性が高すぎますね。
▼おかわいいこと…
女神 (女神「異世界転生何になりたいですか」俺「勇者の肋骨で」)

出典: 『女神「異世界転生何になりたいですか」俺「勇者の肋骨で」』7話
タイトルがだいぶフザけた感じですが安心してください、中身はもっとフザけてます。いわゆる異世界転生モノのテンプレートを逆手に取り、「勇者は転生希望者が多すぎて順番待ちが長いからニッチな概念に転生する」というのを何度も繰り返していきます。その転生の案内を司るのがこの女神です。本名は不明。
ちなみに勇者の肋骨に転生するのは1話だけで、その後は「魔王城の右扉」とか「宝箱に付いてる錠前」とか「百合ハーレム勇者が3番目におとした、王道属性はメインとサブの二人に取られ、インパクトは後発優勢で、中盤辺りでは名前ぐらいしか描写されず、終盤では名前すら出てこなくなる美少女ヒロイン」とかに転生します(これらはすべてサブタイトルそのまま)。
ぶっちゃけ出オチ感が強く、途中から転生のくだりはマンネリになりつつあったんですが、この女神が毎回安定してかわいかったので、火曜の深夜26時とかいうしんどい時間帯でも毎週リアタイを続けることができました。M・A・O声で繰り広げられる鋭いダウナー系ツッコミが神。
天沢一夏 (ようこそ実力至上主義の教室へ 4th Season)

出典: 『ようこそ実力至上主義の教室へ 4th Season』2話
よう実も4期に入って2年生編が始まり、新キャラとなる1年生たちが入学してきました。その中の1人がこの天沢一夏です。
綾小路ら先輩に対しても馴れ馴れしい距離感で煽るような発言をするなどいわゆるメスガキ的な要素を含ませつつ、学力・身体能力ともにトップクラスで底知れない実力を隠しているような様子も垣間見えます。
正直リアルにいたら普通に嫌われそうなタイプで、この手のキャラを推すのは自分でもどうかとは思うんですが、でもやっぱこういうアニメキャラが好きなんですよね…。
個人的にオープニング映像のサビでくるっと回ってるところがめちゃくちゃ気に入ってます。
ナオ (レプリカだって、恋をする。)

出典: 『レプリカだって、恋をする。』7話
ある日突然自分の「レプリカ」を出したり消したりできるようになった少女の話。レプリカは出てきた瞬間からオリジナルと独立した思考・行動となります。一度消えて改めて出現するとオリジナルの記憶が一方的に同期されますが、逆にレプリカ側の体験はオリジナルに共有されません。
オリジナルの存在である愛川素直と、ナオと呼ばれるレプリカのWヒロインのような形式で、彼女らの恋愛模様を描きます。どちらかというとナオの方の心情がフィーチャーされ、視聴者視点キャラクターのような扱いになっていました。
この作品、「ちょっと変わった設定があるラブコメ」かと思いきや、「もし自分の分身が存在したらオリジナル/レプリカはそれぞれどのようなことを考えるのか」という面を深掘りし、自己同一性について真摯に考えるSFのような面があり、良い意味で予想を裏切られた感じです。
また、毎週ラストの引きで結構衝撃的な展開があったりして、アニメとしてシンプルに面白かったですね。
クジマ (クジマ歌えば家ほろろ)

出典: 『クジマ歌えば家ほろろ』1話
最後の最後で人外キャラクターをお送りします。一応設定上は鳥…のようです。二足歩行で人間の言葉を喋りますが…。
渡り鳥のような感じでロシアからやってきて、中学生の鴻田新(こうだ あらた)と出会い、なんやかんやあって一緒に暮らすことになります。
この手の異生物との共生モノ、人間社会の常識がなくて周りに迷惑かけるパターンになってヘイトが溜まる展開がありがちなんですが、クジマは奇行はするもののなんか絶妙にまとも寄りで不快感がないのが良かったです。
のんびりとしたちょい田舎が舞台で、常識はずれの存在に最初は少し驚く人がいながらも、受け入れられて馴染んでいく感じは『ふらいんぐうぃっち』を思い出しました。
▼PVを見てもクジマとはなんなのかよくわからない
正直最初は変な生物アニメだと思ってリアタイで追ってなかったんですが、界隈での評価が非常に高かったためクール終わりにチラッと見てみたところ、普通に面白くて一気に全話完走しました。こういう隠れた良作を発掘できるのはSNS時代のいいところですね。